インタビュー/レポート

肉の健康レポート②

“元気”に長生き、二日酔い防止、幸せな気持ちをもたらす・・私達の身体と心を支える様々なお肉の働きを、追跡調査なども交え紹介します。

1,元気に長く生きる秘訣は、肉のタンパク質にあった!?

●“健康寿命”と“平均寿命”に大きな差

超高齢化社会といわれる日本。世界でも有数の長寿国ですが、心身ともに自立し、健康的に生活できる期間の「健康寿命」と「平均寿命」には、男性では約9年(9.13年)、女性では約13年(12.68年)もの差があり、近年問題となっています。いつまでも元気に長生きするということは、誰もの願い。しかし年齢を重ねるごとに身体全体の機能も低下するので、たとえ以前からの食生活を変えなくても、栄養摂取が不十分になっている可能性があります。

では末永く元気に生きるには、どんな食生活を送ることが効果的といえるのでしょうか。実際に高齢者の食生活を調査したところ、その秘訣が「肉」にあることがわかったのです。

平均寿命と健康寿命には、男性で約9年、女性で約13年の差がある。

●肉を習慣的に食べ続けることが、ひとつのポイント

高齢者に特に必要とされるのが、血液中のタンパク質「アルブミン」です。アルブミンは肝臓で合成されます。血液や筋肉など身体中に広く分布していて、皮膚や血管などの細胞の働きを助ける機能があり、細胞の再生や修復に欠かせません。その数値は老化の指標ともいわれており、実際にアルブミンの数値が高いほど、死亡率や要介護リスクが低くなることが明らかになっています。また、秋田県の65歳以上の高齢者の栄養状態を4年間追跡調査したところ、加齢と共にアルブミンが減少することがわかりました(下図①参照)。しかしその後、食生活改善の介入研究を実施し、アルブミン値を上昇させることに成功しました(下図②参照)。特に、毎日の食事の中で肉を増やした群が、肉を減らした群よりもアルブミン値の上昇率が高くなったのです(下図③参照)。さらに、動脈硬化指数が低下し、その後、7年間の死亡リスクも低下しました。肉のタンパク質には、アルブミンが豊富に含まれており、肉を習慣的に食べ続けることが、元気に長く生きる秘訣であることがわかったのです。

①加齢により、アルブミンが減少 ②介入研究後、アルブミンが増加 ③アルブミンが増加した人は、肉を習慣的に食べ続けていた

●焼肉のタレ(フルーツ入り)で漬けこめば、肉がやわらかく、食べやすくなる。

年齢を重ねると、虫歯や歯周病リスクが増加し、消化液の分泌量も減少、さらには咀嚼力も低下するので、かたいものが食べにくくなる傾向にあります。そのために、肉を食べることをつい敬遠してしまう人も多いのではないでしょうか。しかし前述のように、元気に生きるためには肉を習慣的に摂取することが必要です。なるべく赤身の肉を食べたり、細かく切って食べやすくなるよう調理法を工夫して、おいしく肉を食べましょう。

おいしさを保ちつつ、肉をやわらかく、食べやすくするには、事前に肉を焼肉のタレに漬け込んだ上で焼くことをおすすめします。焼肉のタレ(フルーツ入り)に含まれる「糖」、「フルーツ」、「油」の作用により、肉をやわらかく焼き上げることができると、考えられています。

肉をやわらかく、食べやすくするポイントは、事前に、焼肉のタレ(フルーツ入り)に漬け込むこと!

2,二日酔い防止のポイントは、つまみに肉

●肝機能全体の強化により、二日酔いや悪酔いを防ぐ

夏はバーベキューにビアガーデン、食欲深まる秋はみんなでパーティ、女子会。冬は忘年会にクリスマスにお正月、そして春にはお花見に歓迎会と、一年を通してお酒を飲む機会は多いものです。お酒を飲んでいる時の楽しい気分を台無しにしないよう、二日酔いや悪酔いには十分気を付けなくてはいけません。

予防には、お酒と共に、タンパク質を一緒に摂るのが良いでしょう。特に必須アミノ酸のバランスが良く、高タンパクといわれる、肉などの動物性タンパク質がおすすめといわれています。必須アミノ酸のバランスが良いと、約2時間後には肝細胞の再合成がはじまり、肝機能がスピーディーに強化されます。通常、肝臓内でのアルコール分解処理は肝機能に大きな負担をかけるものですが、肝機能全体を強化すれば、その分解処理もスムーズに行われます。実験で、マウスに5%のアルコール水を飲ませながら、低タンパク質の餌と高タンパク質の餌をそれぞれ与え、二日酔いなどの原因となるアセトアルデヒドの血中量を比較したところ、高タンパク質の方がアセトアルデヒドが増えにくかったことがわかっています。よく二日酔い防止としてドリンク剤などを飲まれる方が多いですが、それらの多くはアルコール代謝サイクルのひとつの過程を一時的に高めるというもので、肝機能全体の能力を高めることはできないといわれています。大切なのは、肝細胞を増やし、肝機能全体を強化することなのです。また、肉には代謝を円滑にするビタミン・ミネラルが豊富であるという点も注目です。

お酒を飲む際の肉の理想的な摂取法は、前菜やおつまみとして飲み始めから摂取する方法です。飲酒前・飲酒中においても、少しでも肝細胞を増やし、肝臓の解毒機能を高めることが大切なのです。

肉を食べることは、 肝機能自体の強化につながる! お酒と一緒に前菜やおつまみとして食べるのもおすすめ!

3,肉には、幸せ効果あり

●肉には、ハッピーな気持ちになる働きがいっぱい!

焼肉をすると、自然と顔がほころび笑顔になるということに、多くの人が思い当たるのではないでしょうか。おいしいものを食べること自体うれしいものですが、肉の場合、科学的にも人を幸せにする効果があるといわれています。

肉に豊富に含まれる「アラキドン酸」は、その一部が脳内で「アナンダマイド」という物質に変化します。この物質は、幸福感や爽快感をもたらすことで知られており、別名「至福物質」と呼ばれているほどです。また、心を元気にする神経伝達物質「セロトニン」を作り出すのは、肉に多く含まれる必須アミノ酸「トリプトファン」です。このセロトニンの働きをスムーズにするコレステロールも、肉から必要量を摂取することができます。さらに、肉を摂取することで副腎皮質ホルモンの分泌も高まるので、ストレスを和らげることができます。肉を食べることが、精神的な安定やハッピーな毎日につながるのです。

肉に豊富に含まれる様々な物質で、家族全員ハッピーに!

仲 眞美子 /医学博士・医療法人社団 葵会 川崎南部病院 健康管理センター所長

東京医科大学大学院 医学研究科内科学専攻博士課程修了後、東京医科大学(血液)内科学教室助手、愛知県がんセンターに国内留学、(財)東京都健康づくり推進センター指導科医長、首都大学東京非常勤講師、イーク丸の内院長等を経て現職。
主な著書:『一生太らない体のつくりかた』幻冬舎

インタビュー/レポートTOP