インタビュー/レポート

肉の健康レポート 1

お肉は、タンパク質を多く含む食物の中でも、“エリート”的な存在であることをご存知ですか?夏バテや女性の貧血、骨粗しょう症、さらには疲れやすさやダイエットにも、効果的に働きかけます。私達の健康に欠かせない、お肉のチカラをご紹介します。

1, 夏こそお肉のタンパク質が必要だった

『夏疲れ・夏バテ予防』

●年々減少する、日本人のタンパク質摂取量

身体を構成するために不可欠な栄養素である、タンパク質。筋肉や骨、皮膚、内臓、髪、歯、爪などの主成分となるだけでなく、運動や思考、さらには喜怒哀楽などの感情にも影響を与える物質を含みます。しかし、タンパク質の摂取量は、男女共に年々、著しく減少傾向にあります(下グラフ参照)。これは、ダイエットなどがブームとなり、タンパク質を多く含む食品を、極力控えるようになったことが原因と考えられます。

●要注意!夏は、タンパク質が特に不足気味に

さらに、1年の中でも、実は夏にタンパク質が不足がちになることをご存知でしょうか?もともとタンパク質は、身体中で使われる栄養素として、絶えず体内で分解と合成を繰り返しています。古くなったタンパク質が分解されることで、大人の場合、1日に約70gのタンパク質が尿や汗などを介して失われています。その損失を補うためにも、タンパク質を毎日欠かさず摂ることが大切なのです。

しかし、夏は暑さのせいで食事量が少なくなるだけでなく、そうめんなど炭水化物中心の食事に偏りがちです。また代謝が上がり、発汗も多くなるため、知らず知らずのうちに普段よりもタンパク質不足に陥ってしまう傾向にあるのです。タンパク質が不足すると、筋肉が弱まり、内臓の働きも衰え、疲労や夏バテにつながります。夏は特に、タンパク質摂取を心がけることが大切です。

●「肉」はタンパク質の“エリート”

タンパク質は体内で合成される「非必須アミノ酸」と、食品からしか摂取できない「必須アミノ酸」からできています。タンパク質を摂取する上で大切なのは、必須アミノ酸のバランスと量。食事で必須アミノ酸をバランス良く摂取することができると、肝臓で様々に組み合わされ、約2時間後には、体に必要な形のタンパク質に再合成され、皮膚や血液などの材料となります。また、肝細胞の再合成もはじまるので、ホルモンの分泌などが促されます。一方、必須アミノ酸のバランスが悪い場合は、体内でタンパク質の再合成にうまく働かないので、皮膚やホルモン、免疫機能など、身体にとって大切な部分の材料として効率良く利用されないことが多いのです。

肉は、必須アミノ酸のバランス、量共に優れており、良質のタンパク質といわれています。また、調理による損失もほとんどなく、体内吸収率も優れています。大豆などの植物性タンパク質の吸収率が84%であるのに対し、肉をはじめとする動物性タンパク質は97%です。

肉の必須アミノ酸のバランスの良さは、他のタンパク質よりも活力やスタミナを生み出し、抗疲労作用もあるとされています。実験で、様々な種類のタンパク質を添加した餌を与え、マウスを強制的に泳がせたところ、肉のタンパク質を添加した餌のマウスが、最も長く泳ぎました。「肉を食べると精がつく」という私たちの実感を裏付ける結果と言えるでしょう。また、免疫系で特にガン細胞を攻撃する役割を果たすNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の働きは、肉を食べた場合の方が、その他のタンパク質を摂ったときより活性化することがわかっています。

●豚肉は、スタミナUPだけでなく疲労回復効果も!

暑さで疲れやすい夏は、豚肉がおすすめです。豚肉には、タンパク質はもちろんのこと、ごはんや麺、パンなどの炭水化物(糖質)をエネルギーに変換するための、ビタミンB1が豊富なのです。

暑い夏でも、いつもの食事に上手に豚肉をとり入れれば、エネルギーを体内にきちんと取り込むことができ、スタミナUPだけでなく、疲労回復にもつながります。

●夏は、肉をタレで食べるのがおすすめ

夏は食欲が衰える傾向にあり、たくさん汗をかくので、体内の塩分が失われがちです。塩分は体内でナトリウムイオンに代わり、血液のバランスを整えてくれるなどの作用があります。

肉を食べる時は、食欲を高める香辛料と塩分摂取が可能な焼肉のタレなどと一緒に食べることを、特におすすめします。

~タンパク質、1日にどれくらい食べればいい?~

現代人が不足しがちなタンパク質。一概にはいえませんが、ひとつの目安として、1日にどれ位食べることが必要なのでしょうか。女性の場合、月経もあり、特にタンパク質が不足しがちなので、食べ物でいえば、1日に肉1切れ、卵1個、魚1切れ、豆腐半丁を目安に摂取を心がけましょう。一方男性の場合は、肉1切れ又は、卵1個のいずれかと共に、魚や豆腐などのタンパク質をバランス良く摂取できるよう心がけましょう。

※女性の場合の摂取目安

出典:東京医科大学・小田原雅人/聖マリアンナ医科大学病院・川島由起子監修の冊子「貧血といわれたら」

2, 現代女性の健康を支える肉のタンパク質

『貧血・骨粗しょう症・疲れやすさ予防・ダイエット』

●タンパク質不足で貧血に!
約20%を占める「タンパク欠乏性貧血」

これまで女性の貧血と言えば、鉄分不足によるものと考えられてきました。しかし、実はタンパク質が目立って不足するせいで起こるタンパク欠乏性貧血(非鉄欠乏性貧血)があるということが、近年わかってきたのです。しかも、その数は貧血全体の約20%をも占めると言われています。

実は、女性は月経の際に、鉄分と共に相当量のタンパク質を失っています。よく「貧血には、鉄分摂取が大切」とイメージされがちですが、鉄分だけでなく、タンパク質も補うことが大切なのです。肉や卵といったタンパク質は、閉経前の女性にとって、とりわけ積極的に摂取したい栄養素です。特に赤身の肉には鉄分も多いので、女性におすすめの食材です。

●骨粗しょう症のカギをにぎるのもタンパク質だった!

骨はカルシウムだけで、できているのではありません。骨の“骨組み”部分はタンパク質です。そこにカルシウムがくっついて、強い骨を形成しているのです。骨に適度な弾力性があるのはタンパク質があるためであり、質の良い状態に保つには、タンパク質が欠かせないといわれています。不足すると、かたいのに折れやすい、もろい骨になってしまいます。骨粗しょう症予防のためにも、カルシウムだけでなく、タンパク質も十分補給しましょう。

●“疲れやすさ”や“イライラ”が、肉不足と関係あり?!

女性によくある、疲れやすさやイライラに関係する女性ホルモンと甲状腺ホルモンは、肝臓内で分解処理されますが、その処理能力も、肉などのタンパク質摂取量に大きく左右されるといわれています。特に、女性は月経前に、肝臓の解毒機能が低下する傾向にあります。それにより、体内に過剰に女性ホルモンが残ると「疲れやすく」なり、甲状腺ホルモンが残ると「イライラ」しやすくなることにつながるのです。

しかし、タンパク質を十分に摂取して新しい肝細胞が次々に生まれるよう促すことができれば、処理能力も上がります。それと共に、副腎皮質ホルモンの分泌も高まるので、気分も沈まず、パワフルに活動できます。さらに皮膚・血管などを作る能力も高めることにつながります。

●ダイエットには赤身の肉を!アミノ酸で脂肪燃焼アップ

やせ型志向の現代女性。なぜかカロリーが高く、食べると太ると思いこみ、肉を控えている人が少なくありません。しかし、肉はむしろ脂肪を減らすことに貢献する食材です。赤身の肉には脂肪を燃焼させるアミノ酸が入っていて、筋肉細胞の脂肪酸燃焼回路が働きやすくなるのです。

無理なダイエットで、気付かぬうちに栄養素が不足しているケースもあります。特にタンパク質については、摂取量が年々大きく減少しており、20代・30代女性は70代女性と同じかそれ以下しか摂取できていない現実があります。 (*タンパク質摂取量・年次推移グラフ(女性)参照

仲 眞美子 /医学博士・医療法人社団 葵会 川崎南部病院 健康管理センター所長

東京医科大学大学院 医学研究科内科学専攻博士課程修了後、東京医科大学(血液)内科学教室助手、愛知県がんセンターに国内留学、(財)東京都健康づくり推進センター指導科医長、首都大学東京非常勤講師、イーク丸の内院長等を経て現職。
主な著書:『一生太らない体のつくりかた』幻冬舎

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