インタビュー/レポート

東京・ロイヤルパークホテル 鉄板焼「すみだ」安冨シェフ インタビュー

都心にあり、高級ホテルながら江戸情緒を残した「ロイヤルパークホテル」。その最上階にあり、スカイツリーの夜景も楽しめる鉄板焼レストラン「すみだ」で料理長を務める安冨シェフ。連日、食に精通した顧客相手に一流の腕前を振るうシェフに、肉焼きの極意や、家庭でも上手にできる肉焼き技をお聞きしました。

― まず、ご自身のことについて教えてください。

これまでに、ヒルトンホテルなど、ホテルのレストラン現場に一貫して携わってきており、2005年からは、ロイヤルパークホテル「すみだ」のシェフに就任しました。以来、お客様の目の前で実際に調理するという、「真剣勝負」の料理提供をしています。大体、1日に40人ほどのお客様の前で調理していますね。

多い時では一度に9人分を調理することもあります。9人のお客様が全員同じ時間に来店するわけでもないし、 同じメニューを頼むとも限らない。そういった中で、すべてのお客様が一番おいしい焼き上がりの状態で食材を召し上っていただくことに、常に気を配っています。

また、来店されるお客様ほぼ全員のお目当てが、「肉」です。だから肉に関しては格別力を入れています。肉のおいしさを最大限に引き出すために、肉自体への工夫だけでなく、肉に応じた前菜や肉とマッチするお酒なども考えて提供しています。そのために、自らワインソムリエの資格も取得しました。

― 改めて、シェフの考える「焼く」ことの魅力とは何でしょうか?

「焼く」は、「煮る」や「炒める」と違って、一発勝負である点が魅力的ですね。失敗しても後戻りできないし、ごまかしがきかない。僕は日々お客様の目の前で調理しているから、お客様の反応を伺いつつ、コミュニケーションをとりながら焼くことも楽しみのひとつです。焼いていると、食材は常に変化して行くでしょう。次第に香りも出てきたりする。そういった時間をお客様と共有できることも魅力的ですね。

― 肉を焼く際に、特に心がけていることはありますか?

僕は常に食材に対して「愛情」をもって焼いています。せっかく焼くのだから、その食材が一番おいしく焼き上がるようにベストを尽くしたい。元々は生きていたのですから、種類や部位など、ひとつひとつの食材で状態が異なるんです。今では食材を一目見れば、どんな風に焼けばいいか、一瞬で判断できるようになりました。例えていうなら、医者が患者のレントゲン写真をみて、一瞬で症状を見抜くということに、感覚としては近いと思います。これも、今まで積み重ねてきた経験があってこそだと思います。焼いている時も肉と鉄板の双方の「声」を聞くようにしています。「もっと焼いて」とかね。

― 焼いている時には、どのような「愛情」をかけていますか?

肉はとにかく優しく扱います。「焼く」という行為は、食材からいわせれば、大きなストレスなんです。だからこそ、特に焼き上げ後は、さらにストレスを与えないよう、しっかりと休ませてあげています。休ませるのは、焼いた時間と同程度が望ましいですね。焼き上げて、すぐに冷たいお皿に取ってしまうと、表面温度も急速に下がってしまう。良い「休ませ場所」は、やはり焼いていた鉄板やフライパンの上ですね。ただし、肉に直接火が通らないよう、脂が抜けた脂身の上にのせるとか、一緒に焼いたタマネギやモヤシの上にのせて休ませるなどの工夫が大切です。事前にお皿自体を温めておけば、お皿の上でも問題ありませんよ。

― 最後に、家庭でおいしく肉を焼くコツを教えてください。

家庭の場合、肉はスーパーで買うことが多いと思います。その場合、ただ焼いて食べるだけではなく、肉を焼く前に、タレに漬け込むという「ひと手間」をかけてあげるだけで、やわらかさとおいしさが増します特に、リンゴやパイナップルなどのフルーツを加えると一層の効果が期待できますよ。ただ、家庭で一からタレを作るのは大変だし、タレは少量作ってもあまりおいしくない。だから家では、市販の焼肉のタレをベースにすることをおすすめします。実際に僕も、家族や友達との集まりで肉を焼く時は、焼肉のタレを使っています。肉をその場で漬けこんで焼いたりしていますよ。

肉は単に焼けば良いというものではありません。工夫次第で、何倍もおいしくなります。だからといって、手の込んだことをする必要はありません。肉はほんのひと手間かけてあげるだけでも、おいしく焼き上がるのですから。その食材の状態に応じて、適切なひと工夫をしてあげることが大切です。

ぜひ、肉を味わうだけでなく、肉を焼くことの魅力や感動を、みなさんにも味わってもらいたいですね。

ロイヤルパークホテル 鉄板焼レストラン「すみだ」シェフ
安冨 正己氏

1964年東京生まれ。高校卒業後、都ホテル東京、ヒルトンホテルを経て89年ロイヤルパークホテル入社。2005年、鉄板焼「すみだ」のシェフに就任。こだわって選んだからこそ、無駄なくおいしく食べていただきたいと、愛情をこめて食材に接する。

ロイヤルパークホテル 鉄板焼 「すみだ」お問い合わせ先:
東京都中央区日本橋蛎殻町2丁目1番1号 20F
電話番号:03-3667-1111   http://www.rph.co.jp/restaurants/res00200.html
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